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夜の絵本 ルオーの贈り物

yorunoehonn

ジョルジュ・ルオー絵
蜂飼 耳 詩・文
PHP研究所刊




おとなのための絵本でしょうね。

ルオーの油絵?が、10点以上も収められています。

絵に合わせた、詩やエッセイが、そえられていますよ。

「猫に踏まれて」を読むと、
著者は猫を飼っていらっしゃるようですが、

個人的に、一番好きなエッセイは、「真珠玉」です。




バスの中で、ひとりの乗客の
真珠のネックレスが、切れてしまい、
真珠玉が周囲に転がってしまう。

ひとり、ふたりと・・・真珠を拾った乗客が
持ち主に返していく・・・。

ラッシュになり、車内のこの状況を知らない人が
バスに乗り込んで来る・・・。

『もし、真珠を見つけたらソレは、私のものだから・・・。』
という、無言のプレッシャーを、周囲に振りまく女性。

途中でバスを降りてしまった著者は、
最後まで、見届けられませんでしたが・・・。

著者は、落とし主のトンデモナイつぶやきを、
聞いてしまったのです・・・。



軽い笑いを誘う、楽しいエッセイでした。
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ルリュールおじさん

ruryu-ruozisann

いせ ひでこ(伊勢英子)著
理論社刊
第38回 講談社出版文化賞絵本賞受賞



ソフィーの、大事にしていた
植物図鑑が、バラバラになってしまいました・・・。

せっかく描いたアカシアの絵が、だいなしです。

街角のおばさんから
「それならルリユールのところに持っていくといい」
と、教えられたソフィーは、小さな工房を尋ねます。

寡黙な職人のおじさんに
図鑑を直してもらうことになったのですが・・・。




フランスでは、長い間、装丁と製本を
一緒に行う事が禁じられていたため
分業化し、ルリュールという職業があるのだそうです。

今では、機械化されてしまい、
全部を「手作業」でできる職人さんは、
希少になりました。

「ルリュールおじさん」の父親も、
そういった「魔法の手」をもつ、
名人のひとりだったようです。

パリの路地裏の風景のイラストが、とても素敵です。

鳥打帽を被り、ポケットに手を入れて
前かがみに石畳を歩く人影に、
パリの風情が漂います。

ルリュールおじさんとソフィーの
出会いの場面は、まるで映画の様でしょう。

ルリュールおじさんの回想シーンの中で
父親の手仕事を、息子(少年)が見るイラストは
宮崎アニメを連想します。

結末も素晴らしいので、お楽しみに。
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絵本 Little Tern リトル・ターン

ritoruta-nn6086


ブルック・ニューマン著
リサ・ダーク画
五木寛之訳
集英社刊

    1.リトル・ターンがみずから語った物語
    2.旅

  『いつかぼくらは再会すると、ぼくにはわかっていた。』

                     「リトル・ターン」より


ある日突然、怪我をした訳でもないのに
飛べなくなってしまったリトル・ターン・・・。

リトル・ターンが自己を啓発し
再生するまでの物語。

カモメに襲われたゴーストクラブを助けた事で、
ふたりの間に友情が芽生えます。

浜辺で寄り添う、ふたりの姿は
とても幸せそうでしたが・・・。

ある朝、ゴーストクラブは
突然、姿を消してしまいます・・・。

ひとりぼっちになってしまったリトル・ターンの
自分捜しが、はじまります・・・。




素敵な水彩画の表紙が、目をひきました。

ブルーを基調にした挿絵も、見所のひとつです。

特に、砂浜にたたずむ、
孤独なコアジサシ(=リトル・ターン)
の姿が、今も、目に焼きついて離れません。

ゴーストクラブ(サワガニ?)との友情には
ぐっと来ますね。

意外性がなく
ほぼ、読者の期待どおりに、物語は進行します。

「カモメのジョナサン」を、読んでいないので
わかりませんが・・・。

個人的には、美しいお話として楽しみました。
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絵本 ゾマーさんのこと

zoma-sannnokoto6094

パトリック・ジュースキント
ジャン=ジャック・サンペ
池内紀訳
文芸春秋刊



  どこへ行くのだろう?
  黙って、いつも、ゾマーさんは歩いている。

           『ゾマーさんのこと』より


『ほっといてもらいましょう!』
そう言いながら、ゾマーさんは、歩き続ける・・・。


ペンキ屋の地下室に、
引っ越して来たゾマーさん夫妻・・・。

ゾマー夫人は、
一日中、人形を作り続ける・・・。

月に一度、郵便局へ行き、
買い物をして戻る以外は、
ずうっと、人形を作ってる・・・。

ゾマーさんは、帽子をかぶり
クルミの杖を持って、リュックサックを背負い
ただひたすら、歩き続ける。

嵐の日も、雪の日も、
野を越え森をぬけ・・・村中を歩き回る。

ピアノの先生の(僕の遅刻に対する)
執拗な叱責に、嫌気がさした少年は
大木から、投身自殺をはかりますが・・・。

飛び降りようとした、ちょうど、その時、
大木の真下をゾマーさんが通りがかります。

閉所恐怖症のために、
家に居られなくなってしまったゾマーさんが、
死の恐怖におびえ、
「目の見えない何者か」から、
逃げる様に歩き続ける様子を
目の当たりにしてしまった少年は、
自殺を踏みとどまります。

その5年後、12歳になった少年は、
ある晩、湖畔で、
ゾマーさんを見かけたのですが・・・。





僕が、まだ、木登りが得意な
7歳の少年だった頃の追憶が、
少年の口を通して語られます。

ムーミン谷を、想わせるイラストに
つい、見入ってしまいました。

ひかえめで優しい少年の、思春期の
揺れ動く心がうまく表現されています。

ゾマーさんという、ナゾの人物や、
僕の初恋・青春が、
生き生きと描かれています。


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聞き書き 尾上九朗右衛門 アメリカに移住した梨園の御曹司

onouekuroemonn6080

花田昌子著
朝日新聞社刊

 ハワイからのメッセージ
 占領下の留学
   廃墟での決意
   出航
   ロサンゼルス上陸
   パサデナ・プレイハウス
   ブロードウェイのミチコ
 故国でのジレンマ
   挫折と励まし
   映画出演
   ミチコと結婚
 歌舞伎を海外へ
   初のアメリカ公演
   ヨーロッパへ
   再びアメリカへ
   陰の立役者
 大学教授
   卒中
   演技を指導
   ハーバード大学
   ローブ余聞
   ボストンを去って
 住めば都
   福祉の国
   クラブ・ライフ
   ピーター・セラーズ
   メットで上演
 生いたち
   尾上家のこと
   子役のころ
   二人の母
   稽古
   父と映画
 名題
   九朗右衛門
   入隊・復員
   結婚
   六代目死す
 再びハワイから

留学時の経験を生かし、海外の大学生に
歌舞伎の実技を教えられた
尾上九朗右衛門氏の一生を綴った本。

アメリカ公演の第一回目の演目は、
『娘道成寺』『忠臣蔵』『勧進帳』『籠釣瓶』
『壷坂霊験記』『身替座禅』等。
「中村勘三郎」「中村歌右衛門」「尾上松緑」
とは、夢のような豪華さ。

往年の歌舞伎ファンには、懐かしいのでしょうね。

実父、六代目菊五郎氏の、知られざる意外な一面も
多く描かれています。

戦時下では、千島列島で砲兵や衛生兵を経験されました。

無事、復員時し、楽屋で父子再会した時の
エピソードが印象的でした。

著者は、以前、偶然、九朗右衛門氏の
お隣に住んでみえた縁で、執筆にあたられました。


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寵妃ロクセラーナ

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渋沢幸子著        
集英社刊                


本名アレクサンドラ・リソフスカ。

ポーランドを侵掠したタタール人に
さらわれ奴隷となり
大宰相イブラヒム・パシャに買われた後、
1520年にスレイマン1世に献上された。

背丈はかなり低く、
愛想がよく陽気な性格であったと伝えられる。



トルコ研究家・紀行作家。
他の作品に、
「イスタンブール、時はゆるやかに」
「イスタンブールからバスに乗って」
「イスタンブールから船に乗って」
「イスタンブール歴史散歩」
「エーゲ海ゆらゆら」
「キプロス島歴史散歩」
「ハーレムの女たち」
「落日のボスフォラス」

ロクセラーナは、オスマン帝国第10代スルタン、
シュレイマンⅠ世から、おくられた愛称だと、
思いましたが・・・
西洋人がつけた、ロシア女という意味の、
蔑称でした。

ウクライナのルテニア地方の寒村の、
司祭の娘、アレクサンドラは、
村を襲ったタタールの盗賊団にさらわれ、
クリミア半島の東南、黒海に臨む、
カッファの港にある奴隷市場に送られます。

美しい赤毛を持つ、アレクサンドラは、
後に、大宰相となる、麗しの
イブラヒム・パシャの目にとまり、
即位したての シュレイマンⅠ世への
献上品として、イブラヒムの館へ、迎えられます。

1ヶ月後。
イブラヒムによって、フッレムと名付けられた
アレクサンドラは、宮殿へと向かいます。

「チョック ギュゼル」 (とても素晴らしい)と、
称賛されたフッレムは、イクバル(お気に入り)
からカドゥン・エフェンディに。

そして、瞬く間に、ハセキ・フッレムとなり、
ついには、ハーレムを出て、王妃となります。

17歳で皇子を出産したフッレムは、
その後も3男1女に恵まれて、
幸福に暮らしますが・・・。

当時の、オスマン帝国では、
第一皇子が即位すると、
第二皇子以下の兄弟達は、
絹の紐で、絞殺される掟でした。

そして、フッレムの長男は
第二皇子でした・・・。

バシュ・カドゥン・エフェンディ(第一夫人)の、
マヒデヴランのひとり息子で、
第一皇子のムスタファは、
即位する事なく 葬り去られます。

同様に、フッレムの4人の息子達も、
数奇な運命をたどります。

一気に読めました。

ややこしい(笑)オスマン帝国の制度も、
さほど、気になりません。

デウシルメ(少年選抜徴集制度)によって
毎年、異教徒の中から、
体力・知力・容姿に優れた少年を集めて、
イスラム教に 改宗させ、
イエニチェリ(近衛歩兵師団)や、
クル(宮廷奴隷)に。

クルになれば、ギリシャ系であれ、
アルメニア系であれ、
出自は一切、問われません。

出世の鍵は、本人の能力と
スルタンの恩寵のみ。

この時代、大宰相になった人物の
ほとんどが、クル出身者だったそうです。

イブラヒム・パシャも、その中の一人でした。

14歳の時に、ギリシャで、
海賊にさらわれたイブラヒムは、
マニサの裕福な老婦人に売られます。

その後、デウシルメによって、
徴集されたイブラヒムは、
カッファで総督をしていた、シュレイマン
(皇太子)の小姓と なり、
ついには、大宰相になって、
シュレイマンの妹を娶り、
肉親を呼び寄せましたが・・・。

意外な事に、彼もまた、あっけなく、
43年の生涯に幕をおろします。

結局、誰ひとりとして、
最期まで幸福だった人物は
いませんでしたが、不思議と
陰惨な感じが無く、あっさりと読めました。  
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誰も教えてくれない完全ムショ暮らしマニュアル

musyo6080

北代司著
kkベストセラーズ刊

  【初級編】
  1.刑務所の種類
  2.刑務所の初日
  3.1日のスケジュール
  4.刑務所は週休二日制
  5.入浴のシステム
  6.検身場
  7.作業着や下着のこと
  8.受刑者はなぜボウズ頭なのか
  9.男女で違う美容ケア
  10.賞与金
  11.玉入れ
  12.ムショ内禁書リスト
  13.娯楽施設はあるにはあるが
  14.くさいメシを食うということ
  15.「担当」と「オヤジさん」って誰?

【応用編】
  16.「担当抗弁」って何?
  17.気分次第で懲罰送りに
 18.シンナー事件
  19.アタリいって来ま~す
  20.シャブの話
  21.医療・事故・逃亡・自殺
  22.受刑者の階級
  23.日本と外国のムショの違い
  24.ムショをあげてのイベント
  25.抜き打ち房内捜検
  26.刑務所内の秘密の暗号
  27.腹の立つ奴をおとしめる法
  28.ムショ・ブランドって何?
  29.食事の賭け  
  30.オカマ・ホモ・レズの話

 【達人編】
  31.刑務所を訴えてもほとんど敗訴
  32.拷問と拷問具
  33.交通刑務所について
  34.ユニークな刑務所
  35.女囚の因縁
  36.改装あるいは新築の刑務所
  37.軽屏禁(けいへいきん)って何?
  38.刑務所を出てからのこと
  39.死刑について

決して垣間見る事の出来ない
刑務所の内部のお話。

全国には、67の刑務所があるそうです。

かつては、入浴時の「かけ湯」の回数も、
各刑務所ごとに決まっていて、
オーバーすると、懲罰房行きだったのだとか・・・。

リアルタイムでテレビが見られるのは、
大晦日の「紅白歌合戦」だけだそうです。

獄中労働の軽重に応じて、食事の量も
一等食~五等食があると知り、とても驚きました。

ちなみに、五等食は、懲罰房の食事です。

各々、階級がきまっていて、昇進すると
面会の回数も増える上に、
菓子類の配給もあるそうです。

食事だけは、みんな、平等だと
思い込んでいたので意外でした。

海外の刑務所との相違も描かれていて
カルチャーショックを受けました。

私服で過ごせたり、房内に
コーヒーメーカーまで持ち込める刑務所もあるらしい・・・。

出所直後にすった煙草で、目まいを起こし
珈琲を味わう様にして飲んだという体験談からは、
ほど遠い環境のようですね。

日本の刑務所は、世界でも待遇の良い
人道的な扱いをしてくれる所だと
信じていたので、意外でしたね。

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The Wreckers 呪われた航海

rettka-zu6088

イアン・ローレンス著
三辺律子訳
理論社刊



  1.難破
  2.打ちあげられた死体
  3.足のない男 
  4.ガリラヤ屋敷
  5.死者たちの列
  6.亡霊のさまよう断崖
  7.悪魔の目
  8.樽にかくされた謎
  9.呪われた湾に船がくる
  10.鎖につながれて
  11.動き出したガーゴイル
  12.心に石をもつもの
  13.封印された過去
  14.決断
  15.荒野をこえて
  16.よみがえった男
  17.信号灯の正体
  18.炎の中の断末魔

3時間程なので、一気に読めます。
首領が誰なのか?
・・・先の見えない面白さの、冒険小説です。

ホラーでは、ありません。

フィクションですが、ありそうな話でコワイ。

船乗りを志す資産家の少年、ジョン・スペンサーは、
父親の帆船アイル・オブ・スカイ号で、初航海に出ますが・・・。

前夜、スペインでワイン樽40個を詰め込んだ後、
船は、あらしに巻き込まれてしまう。

荒波の向うに、信号灯を発見し、喜ぶジョン少年・・・。

スタッフォード船長の制止を振り切って、
上陸しようとする、ジョンの父親・・・。

ところが、船は「墓石岩」の上に座礁し難破してしまう。

砂浜に打ち上げられて、一命をとりとめ、
喜んだのもつかの間。

ジョンがたどり着いた、イギリス、コーンウォールの
ペンデニス村には、恐ろしい『秘密』が、あった・・・。



著者は、「宝島」のスチィーブンソンの、
再来と言われ、続編も描かれています。

洋書も、あります。

人情や人の善悪を、考えさせられる本です。

思いがけない人が、善人だったりして、
意外性があり、面白いです。

短いお話なので、余分な表現がなく
イライラせず、すっきり読めます。

読みやすく、読了後も、爽快感が味わえる
楽しい冒険の物語。
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ちいさなちいさな王様

tiisanatiisanaousama6091

アクセル・ハッケ作
ミヒャエル・ゾーヴァ絵
那須田淳・木本栄共訳



  1.大きくなると小さくなる
  2.眠っているときに起きている
  3.存在しないものが存在する
  4.命の終わりは永遠のはじまり
  5.忘れていても覚えている

ドイツのベストセラー小説です。
大人のための絵本ですね。

「星の王子様」を連想します。

ミヒャエル・ゾーヴァの美しい挿絵が印象的でした。

tiisanaousama1

ボートを漕いでいるのが、主人公です。


本棚の脇の壁のさけ目から出て来た、
気まぐれで、おしゃべりな『ちいさい王様』

tiisaiousama200150

珈琲に砂糖を投げ込み、
バターに、錫を刺して穴だらけにした王様。

僕の人差し指くらいの『ちいさい王様』は、毎夜、
ベッドサイドのテーブルの上に、
「夢」のはいった小箱を置いて眠るのです。

つい、いつものクセで、結末を先に読んでしまって
とても、残念な想いをしました。

ラストで、王様の正体がわかる様になっています。

tiisaiousama150200

他の作品に「キリンと暮らす、クジラと眠る」があります。
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三億円事件

saoookuenn6085

一橋文哉著       
新潮社
               


一気に読めますが、一行一行が
証拠のかたまりなので、かみしめて読みました。

著者の一橋 文哉氏は、
いろんな事件について書かれた方。

他の作品も、読みたいです。
この本は、昨年、ドラマ化されました。

三億円事件の捜査費用・・・十億円。

本書の中で、白バイ警官に変装していた
といわれる、事件当時22~23歳だった
「ロク」が、三億円事件の1ヶ月後、行方不明に・・・。

その後、5年を経過して、「ロク」は、病気で死んだらしい・・・
との噂が、仲間の間で、まことしやかに、ささやかれます。

「ロク」は、三億円事件の1ヵ月後には、
生まれ故郷の、名古屋に戻っていました。

ガソリンスタンドや整備の仕事をこなし、
親類を遠ざけ、一人でひっそりと、
アパートを転々として暮らしていたのですが。

それから、10年後・・・訪れる者のなかった
「ロク」の墓に、身元不詳の男性の手で、
花が供えられる様になったという・・・。

「ジョー」は、いつも、デスクの上に、
若い日本人男性の写真と、
誰かの位牌を置いていたといいます。

そして、「ジョー」は、車は運転しても、
決してバイクに乗る事は、なかったという・・・。
「ジョー」の恋人(=姐御)が、
「ジョー」とドライブ中に紛失したぶどうの形の
水晶のイヤリングが、犯人の残していった
盗難車の中から、遺留品として発見されています。

はたして、三億円の隠し場所とは・・・?
このあたりが、とてもスリリング。

また当時は、横田基地のフェンスにさえ、
車が出入りできる様な、
大穴が開いていたなんて・・・絶句。

立川基地にも、バイクが出入りできる大きさの
穴があり、暴走族が深夜、
自由に出入りしていたとは、驚きです。
そして、事件当時、(府中にも)府中基地があった
とは、知りませんでした。

三億円事件5日後に自殺した、青年と
「先生」との接点は・・・。



楽しく読める本です。

著者は、強奪されたものと番号の一致した紙幣を
「ヨシダ」と名乗る人物から、見せられ、
事件にのめり込んでいったようです。

巻末には、アメリカでの「先生」との
対決インタビューも収められており、ドキドキします。

流通量が多いので、ブックオフの
100yenコーナーでも、入手可能ですね。
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阿片王 満州の夜と霧 佐野眞一

ahennou

佐野眞一著
新潮社刊


先日放送の、NHKスペシャル戦争記録選「日本軍と阿片」の中の、

東京裁判で、自らの罪を認める旨の証言をする、

里見甫の肉声を聞きました。

くぐもった声ではなく、張りのある、野太く明瞭な声でした。


目立たない外見で、物静かな雰囲気でしたが・・・

私的な印象としては、「大きい声なら、どれだけでも出せる」タイプ。


里見の晩年の秘書で、

里見の口述ノートを秘匿する伊達弘視についての文章から始まる、

満州国で「阿片王」と言われた(さとみ はじめ)

中国名、里見夫(リーチェンプー)についてのルポです。


里見は、A級戦犯として巣鴨に収監され、

無罪で釈放、帰国後、

晩年になってから長男をもうけました。


里見遺児奨学基金発起人名簿に、

記載された人物を追う辺りから面白さが増しますね。

当時の上海の、混沌とした空気がよく伝わってきます。


里見甫を巡る様々な人物の、

戦後の暮らしぶりも詳しく描かれています。

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母なる大地父なる空 アリューシャン黙示録 下


短身族の<殺し屋>の息子を
出産してしまった黒曜石は、浜辺へやって来た、
妻を亡くしたばかりの<筋肉>から
生まれたばかりの息子を託されます。

殺し屋一味の、「クジラ狩り族襲撃計画」を知った、
黒曜石と<古に遡る>は、
クジラ狩り族の救援に旅立ちます。

黒曜石に惹かれている<筋肉>も、
仲間の狩人と共に、同行します。

クジラ狩り族の村に到着して、数日後、
短身族が襲ってきました。

この闘いが、クライマックスですね。

一昼夜続いた戦闘に勝利はしたものの、
味方も大勢倒れました。

短身族のカヌーの底を切りに行った、
<多数のクジラ>の孫も戦死しました。

<古に遡る>は、家に侵入した短身族2人を、
槍で倒しますが、自らも瀕死の重傷を負ってしまいます。

一方、黒曜石は、村へ戻る途中で
<灰色の鳥>から、
「第二夫人にならなければ、『秘密』を公表する」
と、脅迫されます。

黒曜石の、『秘密』とは・・・。

黒曜石は、息子が<殺し屋>の血を、引いているという
事実を、隠していました。

みんなには、<古に遡る>の息子の
<アザラシに忍びよる>との間に授かった子だと・・・。

村人達に、真相を、知られれば、
子供は殺されてしまいます。

追い詰められた黒曜石の前に、突然、短身族の、
生き残りの戦士が立ちはだかりました・・・。




一見、波乱万丈のストーリーにも思えますが、
実際に読みすすめていくと、
坦々とした進行で、それほど、変化を感じませんでした。

物語としての魅力よりも、アリュート族の慣習に
ひかれました。

クジラ狩り族の村に、到着してからが面白いです。
短身族との闘争は、目が離せません。

一時は、幸運の女神に見放されたかの様だった
黒曜石でしたが、結果としては、
この時代の女性が幸福に暮らせる要素を
いくつも手にします。

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母なる大地父なる空 アリューシャン黙示録 上

hahanarudaitititinarusora
スー・ハリソン著
河島弘美訳
晶文社

9000年前(紀元前7000年頃)に、アリューシャン列島に
住んでいたアリュート人の、
13歳の勇敢な美少女<黒曜石>の物語。

山でベリー摘みをしている間に、第一等族の村で惨劇が起こり、
黒曜石はひとりぼっちに・・・。

孤独の中で、村人全員の埋葬を終えて、家々を閉じた後
黒曜石は、カヌーで旅をして、ある浜辺にたどり着きます。

この浜辺には、<古に遡る>という
老いた彫刻師が暮らしていました。

この平和な浜も、再び、残忍な短身族<殺し屋>他1名の
襲撃にあい、ひとりは<古に遡る>が・・・
もうひとりは、黒曜石が葬りましたが・・・。

・・・黒曜石は、短身族の子を宿してしまうのです。



著者は、ミシガン生まれの女性で、続編に
「兄なる風」「姉なる月」を含む、長編の大河ロマンです。

「ルーツ」に影響され、書かれた「先史時代フィクション」です。
アメリカ最大の出版社から、1990年に出版されました。

1991年に、アメリカ図書協会のヤング・アダルト向き
ベストブックスに選ばれています。

3年間の調査後、4年がかりで執筆されました。

極北の海洋民、アリュート族の慣習が
さりげなく描かれております。

登場人物の性格の描きわけが、素晴らしい。

人物の名前も<青い貝殻><古に遡る><多数のクジラ>
<アザラシに忍びよる><灰色の鳥>等、先住民風です。

ちなみに<灰色の鳥>と<青い貝殻>は夫婦ですが、
わかりにくいでしょう(笑)

ストーリー的には、「ああ、やっぱり」という結末ですが、
個人的に、先住民の文化が好きなので、楽しめました。

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≪御直披・おんちょくひ≫

onntyokuhi60-86

板谷 利加子著
角川書店


「御直披」(あなただけに読んでいただきたいのです。)
と記され、著者の元に届けられた一通の手紙・・・。

性犯罪捜査官の著者と共に闘い、
犯人に対して、強姦罪としては有期最高刑の
懲役20年の判決を勝ちとるまでの
被害者と、著者との、
温かい心の交流を描いた、ノンフィクション。

著者の(実母の)介護経験も、語られています。




著者は、執筆当時、
神奈川県警察本部性犯罪捜査係長でした。
現在は、警部補になられました。

御直披=親展。

『性犯罪の60%が、顔見知りの犯行』
(親・兄弟・親類を含む)
と、知り驚きました。

本の内容は、被害者と著者の間で
かわされた手紙の写しです。

もちろん、差出人の同意の上で
公開された物です。

家に入る時、(中に)誰もいなくても、
チャイムを鳴らし、家族がいるフリをする。

「誰も帰宅していないな」という顔で
おもむろに鍵を出す。

歩いている時に、不審者を見かけたら
携帯を持っていなくても、

「今から帰るから。
あっ、そこまで向かえに来てくれるの。
ありがとう。」

と、電話するフリをする。

帰宅する際、チャイムを鳴らす習慣を
つけるのも良いそうです。

エレベーター内で、バックから鍵を出し、
ダッシュで部屋に向かい、
チャイムを押さずに、鍵を開ける女性は
ひとり暮らしだと、すぐに、判るそうです。

オートロックのマンションでは、
もう、皆さんご存知の様に、
1階の鍵を開けた瞬間、後ろから接近し、
部屋番号を聞きだし、鍵を奪う手口も・・・。

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そしてベルナは星になった 盲導犬ベルナの愛の物語

beruna60-87

郡司ななえ著
(株)ナナ・コーポレート・コミニケーション刊



盲導犬ベルナとの出会いから最後を看取るまでの
13年間の日々を、短歌を織り交ぜて綴る愛の物語。




著者は、新潟県上越市生まれです。
ベルナの晩年から『盲導犬のお話の会』を開始されました。

現在は、3代目のペリラです。
2代目の盲導犬は、白血病で・・・。
クイール以外にも、白血病にかかった盲導犬が
いた事にショックをおぼえます。

『盲導犬のお話の会』は、2002年末に通算640回を超えました。

24万部を突破した「ベルナのしっぽ」の続編。

プロローグが、いきなり「最後のドライブ」なので
気がめいりましたが・・・。

以前、ドキュメンタリーで、子育てされる、
全盲のご夫妻と盲導犬の番組を
拝見した事があって、その方のお話では、と思い
この本を手にとりました。

27歳で光を失った著者の、「目のみえないお母さん」
としての、子育ての記録です。

全盲のご主人と、二人三脚で、
育んでこられた様子が描かれています。

ベルナは著者の目になり、お子さんを育て、
「盲導犬ベルナのお話の会」を開いて
遠くの街の講演へも、著者を連れて行きました。

リタイアを勧められても、寝たきり犬になったベルナを
手放さず、看取られました。

新しい飼い主の所へ行くよりも、ベルナは
幸せだったと思います。

牛肉が好きで、お肉屋さんが大好きなベルナ。

ベルナ自身が白内障になり、視力が低下していく中で
盲導犬としての「生きがい」を失くしたり、
「プライドを傷つけられたり」する度に、
ベルナの自信回復のために、工夫する
著者の気持ちは、胸を打ちます。

読了後も、ベルナがしっぽを振る
「ぶん、ぶん」と、いう音が聞こえてくる様な気がします。

もともとは、犬が恐くて、好きではなかった著者の
ベルナとの13年間の温かい心の交流の物語です。

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≪私のカラフト物語≫

karafuto60-90

恵原俊彦著
東京図書出版会




大正8年に、カラフトへ渡った一家の記録。

カラフト生まれの著者が、抑留生活の後、
盛岡へ引き揚げるまでが、
56の短編にしてまとめられております。



ダッタン人と言うのは、タタール人(トルコ系遊牧民)
の事だとはじめて知りました。

少年時代のエピソードは、著者の
子供らしい驚きに満ちています。

カラフトには、映画館もあり、日本人も
多く住んでいたもようです。

カラフトシシャモは、北海道の物より大きく
体長は12~3㎝ですが、「雑魚」と呼ばれ
当時は、食用ではなく、飼料でしたが
網の一投で、石油カン半分も獲れたそうです。

また、豊眞線は、上越線と並ぶ、渓谷美を
堪能できるループ線ですが、ロシア領に
なってからは、客車では通れなかった様です。

引き揚げ船に乗船する前に、
風景が入っている写真は没収されました。

ルーブル貨幣とカペイカ硬貨も没収です。

抑留生活中に、同居していたニコライ・バーヴシカ
母子との心温まる交流。

タグボートの火夫をしている時、三角波の底へ
入った体験。

Kさんが、タコ部屋から逃亡する「逃亡を決意」では
自分が捕まる様で、ドキドキします。

「引き揚許可証」を、無事にもらうまでの
エピソード等も見逃せません。

抑留生活や、悲惨な戦争体験も語られていますが、
何処となく「あの頃はみんな、そうだったんだよ」的な
柔らかな表現で描かれています。

客観的にとらえる事ができ、
穏かな気持ちで読めました。

どちらかと言えば、内容は、人情話の方が多く
語られています。

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≪野外料理のベーシック・テクニック≫

yagairyouri60-87

織田 大策著
地球丸刊



著者は、フリーランスライター。
池袋のアウトドアショップで、アルバイトを経験後
ライターに。

アウトドア用品を購入する前に、読みたい本。

炭を使わずに、肉が焼ける、ポータブルタイプの
バーベキューコンロなど、素人の私には、
トリビアな物ばかり。

バーベキューコンロに、ラバロック=溶岩
を、しきつめてバーナーで加熱する方法で
ラバロックは、何回も使えるらしい。

読むだけで、キャンプしてるような
気分が味わえます。

紹介された商品は、全部、実際に著者が
愛用している物ばかり。

写真も著者が愛用した実物で、磨耗したり
しています。

以前から、防災用の軍手は非難袋に
入れてありますが、本書によると、
軍手よりも、溶接作業用の皮手袋が
便利なのだそうです。

DIYショップで700yenで、入手でき、
バックスキンで着脱が容易な物が使い易いとか。

縫い目が外側になった物は、重いものを
持つ時、手が痛くないそうです。

焚き火で、串刺しにした魚を焼く時の
火加減は、焚き火に手の甲をかざして、
我慢できない熱さのところから、10㎝
火に近づけて焼くそうです。

もちろん、風上で。

美味しいバーベキューのタレは2種類、
記載されていましたが・・・。

やっぱり、保険の意味で、市販の焼肉のタレも
用意しておくのがベストらしいです(笑)

他にも、「ニジマスのフキの葉包み焼き」など。

お腹が空いてしまう程、楽しいレシピがたくさん。
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パズルパレス 下

ノ-ス・ダコタと、エンセイ・タンカドは、同一人物でした。

元傭兵を雇いタンカドを暗殺したのは、△でした ( ̄_ ̄メ)

△専用のエレベ-タ-の暗証番号は、
本人しか知らない 極秘でした。
主任であり、父娘同然だった、
ス-ザンにさえ、教えられなかった・・・・・
そう・・・・暗証番号は・・・・・『 ス-ザン 』∑( ̄□ ̄|||)

△は、恋するス-ザンのために、
デイヴィッド・ベッカ-に暗殺者を差し向けます

ベッカ-は、難を逃れましたが・・・・・
真相を知ったグレッグ・ヘイルは、
真犯人の手よって、帰らぬ人となりました( T _ T )

結局、ベッカ-が命がけで手に入れた、『 指輪 』 は、
パス・キ-では、ありませんでした。

タンカドのダイイングメッセ-ジは、指輪ではなく、
体内被爆者だったタンカド自身の『 指 』 ・・・

ラストは、トランスレ-タ-の暴走によって、
クリプトは炎上し、ベッカ-暗殺計画をス-ザン に知られ、
失望した△はノ-ド3と運命を共にします。

さながら映画のようなスト-リ-ですが、
上下、どちらか一冊だけ読むとしたら、下巻でしょうね。

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死体検死医

kannsatui

上野正彦著
角川書店



元東京都監察医務院長
医学博士

他の著書に、
「解剖学はおもしろい」

一気に読める本。

最初に、表紙の著者の顔写真を見ましたが・・・
物静かで、温厚な方の様にお見受けしました。

学者の風貌。

とても、警察関係のお仕事に
携わってみえる方には、思えません。

NHKのアナウンサーさんみたいな印象を受けます。
監察医は公務員なのだと、初めて知りました。

生前の人権を擁護し、社会秩序を維持する
『ご遺体のお医者さん』です。

故人の人権を守る為に、尽力してこられた様子が
よく判ります。

生命の尊さを考える本。

「小平義雄事件」「大久保清事件」など、
終戦後の事件も語られています。

「ロズウェルの宇宙人解剖」に対する所見。

「ジョンベネ事件」にも、言及しています。

神戸の「タンク山事件」についても、
ふれています。

『死後も名医にかかるべし』(本文より)と、言う
言葉が印象的でした。

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パズルパレス 上

pazuruparesu60-87

パズル・パレス  
ダン・ブラウン 著   
越前 敏弥 ・ 熊谷 千寿 訳                              
角川書店 刊



ネタばれ注意です。

パズル・パレスとは・・・・・クリプト (国家安全保障局暗号解読課 )。

百万桁の暗号を数分で解読できる、ス-パ-コンピュ-タ-
トランスレ-タ によって、 アメリカは、
国内のメ-ルを自在に閲覧していた。
その事態に激怒した、広島出身の
日本人プログラマ-で元NSAスタッフの、
エンセイ・ タンカドが解読不能のアルゴリズム
「デジタル・フォ-トレス」 を開発。

デジタル・フォ-トレスの一般公開を盾に、
NSA副長官のトレヴァ-・ストラスモアに、
トランスレ-タの公表をせまる・・・というお話。



主人公は、ス-ザン・フレッチャ-と
フィアンセのデイヴィッド・ベッカ-ですね。

ス-ザンは、クリプトの主任。
デイヴィッドは、ジョ-ジタウン大学の
現代言語学教授ですが、指輪の捜索に東奔西走します。
これが、一番の、見所でしょう。

表紙の写真にある指輪はタンカドの遺品であり
指輪に彫りこまれた文字こそがパス・キ-。

そこには、ラテン語で『 クイス・クストディエト・イソプス・クストデス 』とある。

この言葉は、ユウェナリスの風刺詩の一節で
意味は、 『 誰が、番人を監視するのか 』

共犯者ノ-ス・ダコタの正体が、
ス-ザンの同僚グレッグ・ヘイルである所は、
ちょっぴり、 ダヴィンチ・コ-ドに似てますね。
登場人物は、決して少なくないですが、
混同しにくいので、読みやすく、4~5時間で読めます。

場面展開が、ス-ザンとデイヴィッドの交互なので、
はじめは、イライラしますが、じき、慣れました。
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≪‘‘ⅠT’’(それ)と呼ばれた子≫デイヴ・ペルザー

it60-88

デイヴ・ペルザー著
田栗 奈美子訳
青山出版刊



米カリフォルニア州史上ワースト3の児童虐待を
5年以上、体験した作者が、自ら綴った
生還までの闘いの記録。


著者は、小学1年から、警官に救出されるまでの間
実母から、虐待されながらも生きぬきます。

他の兄弟達のその後の消息は、不明です。

かばっていた父親も、家庭が崩壊していく中で
相当辛かったと思います。

完璧に家事をこなし、料理好きで、ご主人を
大事にしていた彼女に、いったい、何が
起きたのでしょう・・・。

私には、わかりませんが。

何かが、あった様な気がしてなりません。

それは、ありがちな事かも知れません・・・。

が、彼女にとっては、耐え難いものだったのでは・・・。

家族が、まだ、幸せだった頃、著者は
『本当の家族が居て、幸せだからよ。』
と、言いながら、涙を流す母親の姿を
見ています。

消防士だった父親は、勤務の都合上
家を留守にする事が多く、その度に著者は
大変、恐い想いをします。

小学校から帰宅し、家に入る前に、
「明日も、あの太陽が見られるだろうか」
と、思った日もあったようです。

ほとんど、食事を与えられない暮らしの中で
食物を入手するために、あらゆる可能性を
考え、綿密に計画して実行する。

この大胆な行動力は、母親ゆずりなのでは・・・。

兄弟の中で、一番聡明だった著者は、
一番、母親似だったのではないでしょうか。

命の危機が迫った時でさえ、冷静に自己を
分析する能力には驚きました。

誰にでもできることではないと思います。
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≪メンデ 奴隷にされた少女≫

mennde60-89

メンデ・ナーゼル著
ダミアン・ルイス著
真喜志 順子訳
ソニーマガジンズ刊

 

スーダンのヌバ山地で平和に暮らす、
先住民(少数民族)ヌバ族の12歳の
少女、メンデを襲った過酷な運命。
メンデが自由を手にするまでの半生の記録。



「荷造りをしたりして、見つかるんじゃないぞ。
体ひとつで逃げるんだ。」

と言う、救出してくれたヌバ族のバボの
言葉が印象的でした。

洗濯機・掃除機のある家に、奴隷は
必要でしょうか。

世界中が、ミレニアムにわいた年の
9月11日・・・
メンデは、イギリスの路上で
自由の身になりました。

メンデは、温かい家庭の
理解ある両親の元で、育ちました。

ヌバ山地で過ごした、子供の頃の豊かな
思い出も、多く語られています。

ヌバ族の慣習や暮らしぶりも、
生き生きと描かれています。

ある日、村が、ムジャヒディンによって
焼き討ちされ、(事実上の奴隷狩り)
逃げ惑う牛の群れに遮られて、
父親と離ればなれになった
メンデは囚われの身に・・・。

ハルツームのラハブの家で、
アブダとしての暮らしがはじまりました。

ヌバ族の村から、ハルツームまでは、
車で、一昼夜程の距離ですが・・・

ロバしかもたない、ヌバの人々にとっては
どんなに遠い事でしょう。

ハルツームから、ラハブの実妹ハナン
の家(ロンドン)に移されたメンデは、
孤独を深めます・・・。

個人的にも、ハナンよりもラハブの
方が好感が持てました。

本書からは「ルーツ」の様な憎悪を
感じないのは何故でしょうか・・・。

あれだけの事があったにも係わらず
メンデの家族は、奇跡的に全員無事でした。

美しく成長したメンデは、
2002年12月にイギリスに亡命し
難民として永住権を得ました。

現在(20代)幼い頃の夢を叶えて、
医師になる勉強をしています。

依然として、男女を問わず、今も多くの子供達が
アラブ人の奴隷として囚われている
事もまた、事実です。
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ドナービジネス

dona-bizinesu60-88

一橋文哉著
新潮社刊

海外での、臓器移植を斡旋するブローカー。

誘拐した、子供の臓器を売買するドナーハンター。

死刑囚の遺体を入手する、臓器マフィア。

代理母・卵子バンクによって、臓器製造用の
胎児を増産する闇の組織。

関係者への取材をもとに、再生医療研究の
闇を描く。


著者は、1995年、連載「ドキュメント『かい人21面相』
の正体」で、雑誌ジャーナリズム賞を受賞。

その他の作品に、
「闇に消えた怪人・グリコ森永事件の真相」
「三億円事件」「オウム帝国の正体」
「宮崎勤事件・塗り潰されたシナリオ」
「赤報隊の正体」

本書は月刊誌「新潮45」の2001年1月~4月号
と6月号に連載された、闇の連鎖シリーズを
加筆修正した物。

ドナー問題に、特に関心があるわけでは
ありませんが、一橋文哉の本なので、購入。

・・・当然ですが、娯楽性は、全然なし。

次は、明るい本を読む事にします。

出版から、6年。
最新の再生医療研究は、さらに進んでいるのでしょう。

従来は、パーキンソン病患者の脳の内部に、無菌状態
のまま人工哺乳で飼育された、SPFブタの胎児の
脳細胞を移植して治療したのですが・・・。

パーキンソン病患者一人を、治療するのに必要な
ドーパミンはブタの胎児26頭分・・・。

現在では、4~10人の中絶された、人間の
胎児の脳を移植する方法が確立しているらしい。

治療できるのは、うれしい事ですが、
なんだか、怖いですね。

暗躍する闇の商人の活動を抜きにしても、
充分、寒気のする内容です。

どんな事が書かれている本なのかは、
家族にも、話しにくいですね。

アメリカには、胎児細胞を使った臓器製造を
研究中の、大手のバイオベンチャー企業が、
8社もあり、再生医療への応用を
目指しているそうです。

ES細胞の発見によって、体の組織が
人工的に作れる様になったのですから、100%
悪い知らせばかりでは、ありませんが・・・。

一方で、移植を待つ患者の窮状も
つづられています。

マニラで腎移殖を受け、人生を取り戻したOL・・・

死刑囚の腎臓を買い、職場に復帰し、病弱な妻
の代わりに、娘を嫁がせる事ができた父親・・・。

家族を失いそうになった時、倫理観と
感情の間で、苦渋の選択を迫られる人々の
苦悩も、描かれています。
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切り裂きジャック

kirisakijattku60-87

パトリシア・コーンウェル著     
相原 真理子訳     
講談社刊

「検屍官」シリーズの作家として有名な
パトリシア・コーンウェルが、
7億円を投じて得た克明な調査記録。




著者は、バージニア州リッチモンドの
検屍局で、6年間の勤務経験があるそうです。

オープニングから、真犯人が
名指しされたのは、意外でした。

ヴィクトリア朝後期の、著名な
印象派の画家ウォルター・シッカートに
注目し、様々な観点から、
犯人になりうる、可能性について
書かれています。

かなり長編ですが、最期の章に描かれている、
晩年の、シッカートの病気の妻に対する接し方を見ると、
彼のひととなりが判るでしょう。

読んでいると、 とても、113年前に
起きた事件とは思えません。

まるで、ニュースのように詳細な内容です。

2歳・9歳・20歳24歳、その他5枚ある、
シッカート本人の美貌の顔写真には、
驚きを隠せません。

4ヶ国語を話し、ラテン語・ギリシャ語
デンマーク語・スペン語
ポルトガル語の素養があり、
シェークスピアにも出演していた
シッカートは、どこから見ても紳士の風貌・・・。

切り裂きジャックのイメージとは、
かけ離れています。

現場の近くで、警官とすれ違っても、
誰からも疑われないでしょう。

事件よりも、当時の人々の暮らしぶりや、
シッカートの生い立ちが、多く描かれています。  

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≪マクリーンの川≫

makuri-nnnokawa60-83

ノーマン・マクリーン著
渡辺 利雄訳
集英社



北西部モンタナの渓流での鱒釣りを背景に
展開する家族の絆の物語。

不器用で堅実な兄、ノーマン。

フライ・フィッシングの名手ながら、
新聞記者としての才能も発揮できず、
奔放に生き、破滅していくポール。

ノーマン父子は、終生、
ポールの死について、こだわり続ける。





他の作品に
『マクリーンの渓谷』(全米批評家協会賞受賞)
『マクリーンの森』

ブラッド・ピットの出世作となった
ロバート・レッドフォード監督の
「リバー・ランズ・スルー・イット」の原作。

今世紀初頭の、アメリカへの
ノスタルジア文学としてベストセラーに。

著者は、ワーズ・ワス研究者です。

著者は、アイオワ州クラリンダの
スコットランド系移民の、牧師の家庭に生まれ、
フライ・フィッシングの名手だった父に育てられ、
シカゴ大学で、英文学教授を定年後の74歳で、
自分よりも才能に恵まれながら、
若くして死んでしまった弟の想い出をもとに執筆。

1977年ピューリッツアー賞小説部門の
第1候補になるも、「ルーツ」のジャンル分けの議論
(歴史or小説)の影響を受け、落選。

同年は同賞の受賞作品は「該当なし」に・・・。

物語全体に漂う、フィッシャーマンの誇りが
独特の世界観を、形成しています。

ロッキー山脈の自然を愛し、川を
神聖視するマクリーン家の人々。

物語が展開する場所は、ほとんど
「ビッグ・ブラックフット川」と「エルクホーン川」です。

家族の話題も多いのですが、内容の7割は
フライフィッシングのキャスティングについてです。

前半40ページは、ちょっと退屈です。

50ページで事件が発生します。
ネイティブアメリカンの登場人物も登場し
舞台はにぎやかに・・・。

39~43ページの、フライ・フィッシングの
描写は素敵ですよ。

静寂を楽しみながら、お気に入りの場所で
読みたい一冊。

山肌を、垂直に駆け上がるクマや、
ブラックフット川を泳いで渡るオオアカヤマネコ。

大きなブラウントラウト。

ロッキー山脈の大自然が、余す所なく
描かれています。

ブラックフット川の水底で、泡が立たない程
冷やして飲む「ケスラー・ビール」。

当時は、人口が1万人いる街では、当たり前の様に
地ビールが、作られていたみたいです。

古き良きアメリカへの思慕が綴られています。
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名犬ノップ 『ボーダーコリー』が主役の小説です

nottpu60-86

ドナルド・マッケイグ著  
大西 央士訳                                                
集英社刊


                  
ルイスの愛犬ボーダーコリーのノップは、
クリスマスの午後に、雌のアライグマ猟犬に
誘われるまま農場の外へ・・・。

牧羊犬競技大会のチャンピオンだった
ノップは、ライバル飼い主の、酒場での
つぶやき(350ドル)が原因で、犬泥棒の
兄弟に捕まってしまう。

消えたノップの行方を、懸命に捜し求めるルイス。

だが、ルイスにも、ノップにも、
苛酷な運命が待ちうけていた…。




著者は、元コピーライターで
スリラー小説も発表しています。

1984年にアメリカで発表された本書は、
ベストセラーになりました。

93年に出版した新作は、ボーダーコリー
についての、ノンフィクションです。

「おめでたそうにくるっと持ち上がった」
ノップの尻尾 を見てみたいです。

先日、お散歩中のボーダーコリーに出逢いました。

良く行くお店の近くなので、また逢えるか楽しみです。

食事風景も退屈に感じません。

気難しい、義父ルイスをもてあます、娘婿の
マークの様子には、共感を持てます。

スティンクと子付きの雌牛の死闘には
哀しみを憶えます。

ノップは、シュープリーム・チャンピオン
シップに優勝した、伝説のスコットランド犬、
ウィストン・キャップの孫でした。

5000ドルの買い手があった犬です。

ルイスの長年のライバルだった、
ダグ・ホワイトノー・・・。

ルイスはポップ・ボトム競技会で優勝した事から、
ダグ・ホワイトノーの恨みをかってしまいます。

テキサスの野生の羊を追えるなら、
私も、牧羊犬になりたいです。

ドーベルマンの皮は、アザラシに・・・

ジャーマンシェパードの毛皮は
オオカミの毛皮に・・・

セッターの毛皮は、キツネの毛皮に・・・

考えたくありませんが、ノップにも
危険が迫ります。

ノップが、T・T・レインズの車に同乗、
して、サリー・ギャップを出た時が、
一番、ほっとしました。

マークとルイスのチームワークの悪さも
手伝って、捜索は遅々として、進みません。

牧場の羊の世話を、ひと冬休んで、
ノップの捜索に費やした
ルイスの執念には、脱帽します。

ノップは、ダグ・ホワイトノーからの
電話で、(動物収容所での)
薬殺の危機を乗り切ります。

乱暴者が、意外な所で、ノップに親切
だったりします。

海外連続ドラマにありそうな内容です。

ノップの乗った車が、ルイスの車と
何度もすれ違うシーンでは、
ドラマなら、お茶の間で歓声が
上がる所でしょう。

ふたりで、ノップを捜す事で、
マークとルイスは、仲良くなります。

ルイスは、マークの存在を認めるのです。

ノップを助けた人々は、みんな
幸せになりました。

スティンクは、いためた足を
かばいながらも、羊を追う事で、
トライアルに出られる程に回復し・・・

これで、アライグマ猟犬が生きていれば、
ノップの垂れた耳以外は、全て、元通りでした。

そして、旅の途中で、ノップは意外な相手と
恋に落ち、家庭を築くのです。

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睡蓮が散る時

suirenngatirutoki60-86

スザンナ・ジョーンズ著
阿尾正子訳
早川書房刊



小さな画材店を営むラルフは、
再婚相手(東洋人)を探すため東京に来ていた。
彼の妻アップル(タイ人)は、出て行ってしまったから・・・。
インターネットで知り合った、
中国人女性に会うため、フェリーに乗るラルフ。

私立高校の英語教諭 和田留奈は、
同僚の体育教諭 川崎と交際中に
バーで、池田純(16)と知り合う。
川崎のプロポーズを断わった留奈のもとに
ある日、「殺してやる」と書かれた脅迫状が届く。
しかも、純と一緒に、ラブホテルから出た所の
写真が同封されていた。
スキャンダルになる前に、姉のパスポートで、
上海へ出国しようと、フェリーに乗船する留奈だったが・・・。



「アースクエイク・バード」で、2001年の
英国推理作家協会最優秀新人賞受賞。

著者は、1988年に来日し名古屋の高校で
英語教師として1年間勤務。

1994年に再来日し、千葉で中・高校で、
2年間勤務。

3度目の来日で、東京のNHKラジオでも
2年間勤務。

「児玉 清氏絶賛」の一言で、即、購入。

推理小説だと、思い込んで読み始めましたが、
事件性のないまま、物語は、進行していきます。

一気に読めました。
読みやすく、没頭できる本です。

ただ、前作を読まれた方には、少し物足りないかも・・・。

独特の世界があり、日常のどんな様子も
小説になるものだと、思いました。

高校生の頃、たった半年間だけ親友だった、
音信不通の、平(ピン)を頼って、
上海へ渡る、留奈の無謀さ。

一方で、留奈は、
『自分のパスポートを残しておけば、
出国したとは思われない』
と言う、抜け目のなさも持っています。

かたや、ラルフの、初対面の人(女性)の
煙草の煙だけで、激昂する性格・・・。

別れた妻(アップル)の安否が気になりました。

屋根の修理を、頑なに拒むラルフには、
屋根裏部屋を、誰にも見られたくない理由が
ありそうで、コワイ

一方で、サムは、本当に川崎の友人なのでしょうか・・・。

読み終えてからも、もう一度、はじめから
読みなおすと・・・うなずける場面があります。

それでも、なお、疑問が残るのが、
この本の魅力でしょうか。

日本でしか販売されていないという
「コーンと海苔味のチップス」を、
私も捜しましたが、何処にも売ってませんでした。

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≪美人粥≫

bizinngayu75-75

小林カツ代著
文化出版局 

もう、1月です。

1月といえば、大変、お寒うございます。
あったかヘルシー「お粥」など、いかがでしょうか。

『お粥は、作る人も
      食べる人も美人にします』(本文より)

・・・お粥もさながら、、小鉢が素敵。

レストラン「KATSUYO GREENS」の
スープ粥の本でした。

著者は、エッセイストでもあります。

「鯛のさしみのスープ粥」
taigayu120-90

   


「ピータン粥」
pi-tanngayu120-90

   


「気分は七草粥」
nanakusagayu120-90

   


「あずき粥」
azukigayu120-90

グラニュー糖をまぶして、溶けないうちに
シャリシャリ感を楽しみます。

   


「あわび粥」ん?
awabigayu120-90
  
   

・・・・・。
『たまには、ねっ』と言われましても、小林先生。
「あわび粥」は、庶民の私には・・・。

むきイカで代用します(笑)

食感は、1㎝厚さの縦切りエリンギで(笑)

素材が豊富なので、冷蔵庫の残り物
でも、できそうなのがうれしい。

蕎麦の実があるので、炒って、蕎麦茶粥を
作ろうかな。

五穀米の残りで、五穀粥にしようかな。
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魔女の血をひく娘1・2

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セリア・リーズ著
亀井よし子訳
理論社刊


     
中世イギリスの魔女狩りから逃れて、アメリカの
入植地(ピューラ)へ渡った、少女メアリーの物語 。

メアリーの実母は、当時としてはめずらしい、
意思の強い聡明な貴婦人でしたが・・・

軍人の家系だったため、夫も舅も出征
してしまい、幾年にもわたる長い長い戦争
の間、メアリーの母は、たったひとりで、
広大な屋敷に取り残されます。

その間に、彼女は、ひとりでメアリーを
出産します。

メアリーは、かつて、彼女の母親の
乳母だった、老婦人に引き取られ
大切に育てられます。

町外れの林の奥で、祖母(育ての親)と
一緒に、静かに暮らしていました。

ふたりは、実母からの仕送りで、
貧しい中でも、安定した暮らしを
することができました。

どうして、働き手もいないのに、
『あんな豊かな暮らしができるのか?』

ふたりの暮らしぶりをねたんだ村人によって、
祖母は、魔女として告発されてしまいます。

当時、身寄りのない女性や、一人暮らしの
娘は、魔女として告発されることが、
多かったようです。

先住民族の信仰(自然信仰)を、
捨てない人々も、魔女として扱われました。

教会の礼拝を、一度も、かかさず通って
いても告発されてしまうのです。

産婆や治療師・薬草の知識に長けた人々も、
魔女ではないかと、疑われました。

『生かす力を持つ者は、殺す力も持っている』と
言うのが、当時の考え方の主流だったようです。

不幸な偶然が、かさなり・・・
メアリーの祖母は、
上記の全ての条件に当てはまる人でした。

祖母は、民間の魔女狩り人
オバダイア・ウィルソンによって、
メアリーの目の前で、
公開処刑されてしまいますが・・・

祖母の、最期の瞬間、メアリーは
謎の貴婦人(実母)によって、
群集の中から、救い出されます。

馬車にゆられ、宿屋で過ごすうちに、
メアリーは、実の母親だと気付きますが、
ふたりは、名乗り合うこともなく、別れます。

命がけの船旅の中で、 清教徒に
変装したメアリーは、同じく、
魔女狩りを逃れて、清教徒になりすました
治療師(産婆)マーサと知り合います。

マーサは、船底で、難産に苦しむ女性
(レベカの母親)を助け、
メアリーは、仮死状態で生まれてきた
男児を蘇生させます。

これって、善いことですよね。

ところが、後に、この事が、メアリーに
魔女の嫌疑がかかる、発端になるのです。

世界中の薬草を集めて回っている、
薬種屋のモース・大工のトバイアス父子
とも、船の中で仲良くなり、三人は入植後、
一つ屋根の下に暮らすようになります。

イギリスよりも、寒い土地でしたが、
暮らしは幸せでした・・・。

ところが、メアリーがジョンソン師の甥(牧師)
の、求婚を断った事と・・・。

レベカが、ジョンソン師の求婚(再婚話)を
断ったことが、かさなって、メアリーの立場は、
危ういものになります。

ジョンソン師の妻は、そのわずか2ヶ月前、
衰弱した体で、無理なお産をして亡くなりました。

5人の子供を残して・・・。

亡くなったジョンソン夫人は、独身の頃、
天涯孤独の身になり、魔女狩り人に追われて、
川底に沈められ、溺死寸前の所を、
偶然通りがかったジョンソン師に、助けられました。

そのまま、赴任先の教区について行き、
ふたりは結婚したのです。

レベカと大工のトバイアスは挙式間近で、
そのことは、村の誰もが知っていました。

もちろん、ジョンソン師もふたりの結婚を認め、
祝福していたのに・・・。

しかも、この時、レベカのお腹には、
トバイアスの子が・・・。

その事実を知った、メアリーは、
泣きじゃくるレベカを、慰め、励まします。

親友として、当然の行為だと思いますが・・・。

ところが、その事を伝え聞いた、ジョンソン師は、
メアリーのせいで、破談になったと、逆上。

メアリーは、ジョンソン師の
恨みをかってしまいます。

間の悪い事は、重なるもので、
ちょうどその頃、オバダイア・ウィルソンが、
魔女を追って、入植地にやってきます。

入植地の近くの森の奥で、魔女の儀式を、
行った形跡が見つかったと・・・。

儀式をした真犯人は、村の実力者の娘でしたが・・・。

集会で、魔女だと名指しされた、メアリーは
ネイティブアメリカンの青年カケスが待つ、
森へと逃げ込みます。

季節はずれの雪が、足跡を消し去り、
メアリーの行方は誰にもわかりませんでした。

数日後に無事出産したレベカは、
生まれた女児をメアリー・モースと名付けます。

メアリーの手縫いの「キルト」は、
マーサに託されました。

やがて、年老いたマーサは、
「キルト」をレベカに、譲ります。

レベカから、娘へと「キルト」は
受け継がれました。

娘のいない時は、長男の妻が
受け継ぎました。

こうして、メアリーの「キルト」は、大切に
代々、受け継がれていったのです。

この「キルト」は、お産の時、母と子にのみ
使うように代々、申し送られていました。

「キルト」をかけてもらった、新生児は、
ひとりも亡くならず・・・

同様に母親も、産褥熱を発症した人は
ひとりもいなかったそうです。

このお話が、どこまでが、フィクションなのか
私にはわかりませんが、

清教徒が新大陸に入植してから、 間もな く、
アメリカ初の魔女裁判が、行われたそうで・・
それには、とても、驚きました。

続編では、森の中で凍えているメアリーを
カケスが発見し、ふたりは、結婚します。

カケスの祖父、白いワシ(シャーマン)は
疫病で亡くした娘(白い小鳥)の花嫁衣裳を
メアリーにおくり、 暖かく迎え入れます。

ふたりの間には、息子(黒いキツネ)も生まれ
メアリーは幸せでしたが、白人との戦争が勃発し
再び、 時代の渦に巻き込まれてゆくのです・・・。

イギリスで「ハリーポッター」を出版した
ブルームズベリー社の、一押しの作品。

世界16ヶ国で、出版されました。

「キルト」の中から発見された、メアリーズペーパー
(魔女狩りを逃れて、中世イギリスから新大陸へと
渡った少女の日記)をもとに書かれたフィクションです。

メアリーズペーパー発見のニュースは、
大きく扱われたので、ご存知の方も多いのでは。

私は、数年前、そのニュースを耳にした時から
読みたかったので、本書を見つけた時は、
うれしかったです。
北米インディアンの暮らしぶりや、
毛皮を用いた衣服、部族ごとの慣習などが
克明に描かれていて、おもしろい。

魔女狩りが公的な機関ではなく、
個人の魔女狩り人によって、行われた
事は、意外でした。

魔女狩り人は、集落を、魔女の危害から
救ったと言う理由で、役場から、
謝礼を受け取るのです。

続編では、本編よりも、巻末にある、
ピューラ(入植地)の村人達の、その後の
消息のほうが、興味深く感じました。
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イエスの遺伝子

iesunoidennsi60

マイクル・コーディ著
内田昌之訳
徳間書店刊

             
主人公トム・カーターは、ノーベル賞受賞の
直後に、ブラザーフッドから送られた
暗殺者マリアの凶弾によって、妻を失う。

検死の結果、妻が悪性の脳腫瘍で、
余命いくばくもない体だったことを知った
カーターは、友人の制止も聞かず、
ひとり娘のホリーのDNAを、自身が開発した
ジーン・スコープで、検査しますが・・・。

ジーン・スコープが算出した、ホリーの余命は、
あと1年・・・


タイトルが、タイトルだけに書いていいか
どうか、迷いましたが 遺伝子スリラーと
いうことで、お許しください。

後半からが、特におもしろい。

ディズニーが、版権を入手しながらも、
映画化されなかった作品。

カーターが、遺伝子療法を施す為、
世界中をめぐって、キリストの
体細胞を探す所は、迫力があります。

髪の毛1本、爪ひとかけらでもあれば、
イエス・キリストの容姿はおろか、
遺伝子も解明できる・・・。

このあたりは、とても現実味を、おびています。

はたして、奇跡の治癒能力を、持つ
人物は、誰なのか・・・。

言いかえれば、キリストと同一の遺伝子を
もつのは、一体、誰なのか・・・

ここで、想像がふくらみますね。
読者の、予想どおりに
ならない所がおもしろい。

膨大な資料の中から、割り出された
男性が、ネィティブアメリカンだったり
意外性があって、おもしろい。

そして、ジーン・スコープが、探し当てた、
もうひとりの救世主は・・・

最も、意外な人物で、びっくり。

キリストの再来と特定された、その人物にも
生命の危機が、迫ります。

この、あたりが、物語のクライマックス。
゙キドキです。

遺伝子科学の最先端技術をもつ、
ジーニアス社(カーター=社長)。

イエス・キリストの死の直後から、
キリストの再来をかたく信じて、砂漠の
地下洞窟で、待ち続ける
宗教集団ブラザーフッド 。

この、ふたつが「救世主の探索」という
共通の目的を持った時点で、
一気に、からみます。

この対比もおもしろい。

もうひとつは、奇跡の遺伝子・・・ここでは、
ナザレ遺伝子と書かれていましたが・・・。

ナザレ遺伝子の、治癒能力は
素晴らしいものでした。

それこそ、時には、末期ガンの人の命をも
救うことができるのですが・・・

自分自身は、治せないのです。

治療するには、患者自身に遺伝子を、
注入するのではなく、他の誰か・・・
第三者に注入し、芽生えた奇跡の能力によって、
治療される仕組みです

これには、1番、驚かされました。
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