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ひめねずみとガラスのストーブ 安房直子

himenezuminogarasusuto-bu

安房直子著
隆矢なな画
小学館刊

寒がりな風の子の「フー」は、

くまストーブ店で、美しいガラスのストーブと油を買います。


誰も来ない森の奥で、

ガラスのストーブに黄色いアブラを入れて、

フーが、マッチで火を付けると、

美しいオレンジ色の炎が燃え上がりました。


つやつやした茶色の毛並みをした、

可愛らしい、小さな、ひめねずみの女の子が、

ストーブで体を温めているではありませんか。


僕のストーブだからと、拒否するフーに対して、

ヤカンがあればお湯が沸かせる・・・と言う、

ひめねずみの言葉に、

フーは金物店でヤカンと鍋をすぐさま購入しました。


小さなタマネギを剥きながら、

フーの帰りを待っていた、ひめねずみは

タマネギのスープを作りました。

ひめねずみが作る料理は、どれも美味しくて温かかく、

食後はストーブの傍らで、ぐっすりと眠りました。

その日から、ひめねずみとフーは一緒に暮らし始めました。


そんなある日。


フーとひめねずみが、

いつものようにガラスのストーブで

お茶を沸かして飲んでいると、

木の上から、見慣れない女の子が話しかけてきました。


女の子は、遠い北の国から来たオーロラでした。


オーロラに煎れたてのお茶をすすめる、ひめねずみでしたが、

フーは、北の国に魅せられて

オーロラとともに旅立って行ってしまいます。


フーは、やはり風の子なのです。


独り森に残った、ちっぽけなひめねずみは、

その日も、いつものように料理を作ってフーの帰りを待ちますが、

北国へ向かったフーは、その夜、帰りませんでした。


翌日から、ひめねずみは料理を作るのを止め、

ガラスのストーブでお湯を沸かして、

美味しいお茶を煎れました。


すると・・・その香りに魅せられた、

ひめねずみの大群が集まって来たのです。


ひめねずみ達は、あまりにも小さくて、

お互いの存在に気付かずに暮らしていましたが、

実は、この森には、ひめねずみが大勢いたのでした。


ひめねずみ達は、皆、ガラスのストーブを気に入り、

その傍らで暮らすようになりました。


やがて・・・

成人して風の精となったフーは、

どうしても、あの、ひめねずみに逢いたくなり、

オーロラに別れを告げ、

森へ帰って来たのですが、

そこに、あの、ひめねずみの姿は、ありませんでした。


フーは、ひめねずみの寿命を知らなかったのです。


ひめねずみのひ孫から、

「もう、とっくに・・・」の言葉を聞いたフーは

落胆しましたが、すでに手遅れでした。


小さくなったガラスのストーブを見て、

フーは自分の体が大きくなったのを感じました。


ひめねずみの子孫達は今でも、

ガラスのストーブとヤカンと鍋で、

あの頃の、フーとひめねずみと同じ様に、

料理をして暮らしていましたが、

そこには、フーの居場所はありませんでした。



大人になった事を実感したフーの体は、

やがて透明になり、

本当の風になって消えてしまいました。




表紙のひめねずみは小さくて目立ちませんが、

作品中で彼女の存在は大きいです。
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